チェンジを期待した有権者たち。「一つのアメリカ」は実現されるのか 
Photo by Morgan Freeman

「チェンジ」を訴えて当選し、まるでアメリカン・ドリームを体現したような黒人初の大統領、オバマ氏の登場から4年。2期目の就任式で、再スタートを切ったが、それを見守る有権者のまなざしは明らかに変化した。国内で、そして政界で深まる「分断」に失望が広がっている。(取材・文/ジャーナリスト 津山恵子)

つやま・けいこ
共同通信社ニューヨーク支社経済特派員を2006年11月退社、07年12月、フリーランス・ジャーナリストとしてニューヨークを拠点に取材、執筆を続ける。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版コラムニスト。AERA、文芸春秋、週刊ダイヤモンド、エコノミスト、フォーサイト、GOETHEなどに、米国の政治・経済・社会について執筆。「モバイルシフト」(アスキーメディアワークス)など著書多数

2期目の就任演説では
過去最高の人出だった

「この風景を見るのはこれで最後だろうから――」

 オバマ大統領は側近にこう言って、2度目の大統領就任宣誓式会場を去る前に、もう一度後ろを振り返り、「30秒間」もその風景をじっとみつめた。そして、振り切るようにきびすを返し、会場を後にした。

 その風景とは、宣誓式が開かれた連邦議会議事堂の前に3キロに渡って広々と続く公園「ナショナル・モール」を埋め尽くし、国旗を振る数十万人の支援者の姿だ。

 2009年の就任式の際は180万人だったが、今回数十万人と、数字的には激減した。しかし、人数は減ったとはいえ、4年前も今回も、集まった有権者の熱狂ぶりは、変わらないものであった。