ウクライナ戦争を変える冬Photo:Carl Court/gettyimages

【キーウ(ウクライナ)】ウクライナの大草原地帯に冬が近づいている。気温が下がり、冷たい雨が続くと、道路や野原はぬかるみ状態となり、人や装備の移動は困難となる。その後、地下深くに達する凍結と降雪で地面は固くなるが、戦闘はより難しくなる。

 ウクライナで戦う両軍は、冬の容赦のない天候と日が短くなることに備えている。こうした環境では、兵士の健康と士気が影響を受け、兵器と情報収集センサーの有効性は低下し、兵士を戦場にとどめておくのに必要な補給は一層困難となる。

 キーウを拠点とする政府系シンクタンク「国立戦略研究所」のミコラ・ビリエスコフ研究員は「地上戦は一般的に非常に困難だが、冬季の戦闘は二重の困難を伴う。気温がセ氏マイナス15度に下がれば、大規模な攻撃を仕掛けるのは双方にとって難題となる」と話した。

 冬は戦場から離れた国民生活にも打撃を与えるだろう。ロシアは、ウクライナ国民の戦意をそぐため、発電所や暖房用施設を標的とした攻撃を開始した。一方で欧州向けのエネルギー供給を停止する動きに出ている。これは、欧州の有権者が寒さなど不快な思いをすれば、各国政府がウクライナ支援の縮小を促されることを狙ったものだ。

 ロンドンのシンクタンク国際戦略研究所(IISS)の地上戦専門家ベン・バリー氏は、悪天候は双方に影響を及ぼし、戦闘のスピードが落ちる可能性が大きいとしながらも、「どちらか一方が戦闘を望めば、戦い続けることはできる」と述べた。