習氏の「ドリームチーム」 市場が恐れるのは当然Photo:Lintao Zhang/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国の習近平国家主席は週末、政敵を完全に排除した新指導部の陣容を発表し、自らの権力を見せつけた。だが、週明け24日の市場は厳しい判断を下した。残念ながら、市場の反応は正当化されるかもしれない。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先週、習氏が最高指導部の中央政治局常務委員会を自らの腹心で固めるとの予想を報じていた。それでも、習氏による指導部内の権力集中に、市場は不意を突かれた。先週、何ら説明もなく延期されていた7-9月期(第3四半期)の国内総生産(GDP)統計が24日朝に公表されたが、市場で売りが膨らんだのはおそらくデータのせいではない。3.9%増という数字は実のところ、大方のエコノミストの予想を上回っており、売り材料とは考えにくい。

 今回の指導部刷新により、李克強首相や汪洋全国政治協商会議主席ら、市場寄りの改革派とみられていた複数の幹部が姿を消した。一方、上海市トップで習氏の腹心である李強氏が次期首相に就任する見通しとなった。つまり、李強氏が国家官僚機構を支配する立場に立つ。上海市の新型コロナウイルス感染拡大に伴い導入したロックダウン(都市封鎖)で大失態を演じたにもかかわらずだ。