コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について同書から抜粋して公開。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしますのでお付き合いください。【投資信託・つみたてNISAがよくわかるQ&A】の5回目をお送りします。
【Q5】つみたてNISAは、いつから始めても20年間できるのですか?
つみたてNISAの投資期間が5年間延長され、
2042年まで可能に
できるとも言えますし、できないとも言えます。
つみたてNISAがスタートしたのは2018年で、最初は投資可能期間を2037年までとしました。したがって、2018年から積み立てをスタートさせた人は20年間、新規資金を追加できました。
年間の積立金額の上限は40万円ですから、20年間で800万円の投資元本に生じる収益が、非課税扱いになります。
そして、以前の連載でも触れましたが、一般NISAから新NISAへの切り替えと同時に、つみたてNISAの投資可能期間が、それまでの2037年から5年間延長され、2042年までになりました(下図)。
その結果、2023年中に口座を開設して積立投資を始めれば、2042年中まで20年間、合計で240回、投資信託の積み立てができるようになります。
とはいえ、今の時点でつみたてNISAは2042年までの有期限措置であることから、2023年中よりも口座開設が後ずれすると、その分だけ積み立てられる回数が少なくなるため、240回の積立回数で満額800万円まで非課税運用できるという、つみたてNISAのメリットを最大限、享受できないことになります。
したがって、つみたてNISAの制度を少しでも有効に活用したいのであれば、少しでも早くスタートさせることが肝心なのです。
つみたてNISA制度は、恒久化されるか?
一方、非課税期間については20年間で、これは毎年積み立てた分について最長20年間で生じた収益が、非課税扱いになります。
2021年に投資した40万円に生じた利益→2040年まで非課税
2022年に投資した40万円に生じた利益→2041年まで非課税
2023年に投資した40万円に生じた利益→2042年まで非課税
2024年に投資した40万円に生じた利益→2043年まで非課税
このように1年ずつずれて、投資元本40万円に生じた利益が20年間、各年等しく非課税扱いになります。なので、投資可能期間の最終年である2042年に投資した40万円に生じた利益は、2061年まで非課税扱いになるということです。
投資可能期間と非課税期間をごっちゃにしてしまうケースがあるようですが、投資可能期間とは、年間40万円ずつ積み立てられる期間のことで、これは2042年までと区切られています。
これに対して非課税期間は文字通り、その年に投資した分が非課税扱いになる年数のことで、最長20年です。
ただ、この制度が普及していけば、投資可能期間については延長、もしくは無期限化される可能性が高く、すでに証券業界も投信業界も、業界団体を通じて政府に制度恒久化の要望を提出しています。
【A5】今のところ、非課税期間は20年、毎年の投資枠は2022年から始めたら、あと21年しかありません。しかし、制度恒久化に向けて業界は要望に動いています。
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)他多数。