コロナ禍のリモートワークなど生活スタイルの変化により注目されたのが、資産形成に対する関心が高まったこと。特に、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISAの口座開設が急増した。そんな状況の中、つみたてNISA本の決定版ともいえる『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)が3月16日に発売。本連載では、つみたてNISAを利用して長期投資や資産形成をしてみたいという人に向けて、失敗しないつみたてNISAの賢い選び方・買い方について同書から抜粋して公開。「つみたてNISAってなに?」という投資ビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすくお伝えしますのでお付き合いください。【投資信託・つみたてNISAがよくわかるQ&A】の4回目をお送りします。
【Q4】今はお金がないので、もう少し余裕ができてから投資を始めてはダメですか?
「余裕資金ができたら投資しよう」という考えでは、
いつまで経っても投資できない
「投資は、余裕資金でやりましょう!」
よくこのようなアドバイスをする方がいらっしゃいます。
確かに投資はリスクのあるものですから、衣食住など生活に必要な資金を充ててしまうと、いざという時、どうしようもなくなって解約せざるを得なくなり、その時点で損失を発生させてしまうということもあります。
でも、「余裕資金ができたら投資しよう」という心構えでいると、いつまで経っても投資できないということにもなりかねません。このようにおっしゃる方は、多少、余裕資金ができたとしても、またほかの言い訳を見つけて、なかなか投資を始めないというケースが往々にしてあります。
大事なことは、少額でもいいので、
とにかく投資を始めてみること
大事なことは、とにかく少額資金でもいいので、投資を始めてみることです。そのためには、つみたてNISAのように毎月少額資金で積立投資できる方法が、理想的なのです。
おそらく、そんなに余裕しゃくしゃくで生活ができている人など、ほとんどいないでしょう。
毎月のお給料から生活に必要なお金、保険の掛け金、各種ローンなどを払ったら、もうお給料がほとんどなくなるという方も少なくないと思います。
それでも、何とかして将来、お金に困らないような対策を考える必要があるからこそ、投資をするわけです。
なので、毎月のお給料をもらったら、そこから各種必要経費を差し引いて、余ったお金で投資をするというように発想を逆転させる必要があります。
給与天引きにして、残ったお金で生活する
つまり、毎月のお給料から、「これだけなら何とか続けることができる」という金額を弾き出し、それをまず差し引いて投資に回してしまうのです。そして、残ったお金で生活するようにしましょう。
それは無駄な保険を解約したり、行ってもいないスポーツクラブを退会したり、もしくは飲みに行くのを1回減らす、といったようなことで簡単に実現できるかもしれません。
何よりも、つみたてNISAを始めてしまえば、毎月、決まった金額が自動引き落としで積み立てられていきますから、理想的な資産形成ができるはずなのです。
世界経済は、まだまだ右肩上がりで成長していきます。
ですからグローバルに投資するリーズナブルなコストの投資信託を買って、持ち続けていれば、途中は価格が下がることがあったとしても、経済が成長していれば、将来的に大きなリターンが見込める可能性があるのです。
【A4】長期投資は元手がなくても始められます。まずは少額からでいいので、つみたてNISAを始めてみましょう。増額、休止もできます。長期で積み立てを続けることで、将来大きなお金に育ちます。
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言。国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を9年連続受賞。口座開設数16万人、預かり資産5000億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)他多数。