ケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)東京東京・虎ノ門ヒルズ  ビジネスタワーにあるCIC Tokyoでは数多くのイベントが開催されている Photo:CIC Tokyo

このところ行政がスタートアップ支援を推進する動きが目立っている。例えば岸田内閣は2022年を「スタートアップ創出元年」とし、イノベーションの鍵となるスタートアップを5年で10倍に増やすと宣言した。経済産業省は6月に経済産業省と関係独立行政法人等が行っているスタートアップ関連の支援策を取りまとめた冊子を発表。東京都は「Tokyo with STARTUP」と銘打って東京都とスタートアップとの協働をさらに推進するとしている。これらをただの喧伝に終わらせないようにするには何が必要なのか。スタートアップ先進国・アメリカに本社を構えるケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)の創設者兼CEOであるティム・ロウ氏に話を聞いた。ロウ氏は日本への留学や、日本企業で働いた経験もあり、流暢な日本語を操る日本通としても知られる。(ジャーナリスト/PRプランナー ミハシヤ)

日本でも、以前よりスタートアップへの関心が高まっている

 CICは、本社のあるアメリカをはじめ、ヨーロッパ、アジアの4カ国8都市に拠点を持つ。アジア初の拠点であるCIC Tokyoは2020年10月にオープンした。コロナ禍という厳しい環境にもかかわらず、小規模のプライベートオフィスは90%以上が成約済みで、ほぼ満室という状況だ。コロナの影響は受けたものの日本の企業の活動水準は依然として高いとロウ氏は見ている。

「一昔前に比べると、最近はスタートアップに対する関心も高まっていると感じます」と語る。

 ロウ氏はパンデミックにより厳しい規制が課せられていた2021年、2022年ともに数週間日本に滞在し視察を行っている。

「日本には以前から有望なスタートアップが存在しますし、それをサポートする仕組みもあります。岸田首相がおっしゃった『スタートアップ創出元年』というのは、さらなる支援を拡充する決意の表れだと捉えています」