すでに売却先が決まった8530号車すでに売却先が決まった8530号車(新樹会提供)

自動車や船舶などは個人で購入することも可能だが、鉄道となると購入のハードルは一気に高まる。だが、決して不可能ではない。東急電鉄は現在、田園都市線で用いた車両を売り出し中だ。その価格や設置・維持費用などはいくらかかるのか。購入を決めた社会福祉法人に話を聞いた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

東急電鉄が田園都市線の
中古車両を売り出し

 自分専用の電車が欲しいと思ったことはあるだろうか。自動車はもちろん、ボートやヨットなどの船舶、さらにハードルは格段に上がるが、軽飛行機やビジネスジェット、小型ヘリコプターなどの航空機も個人で所有できる。だが、巨大な一つのシステムである鉄道だけは個人で所有することができない。

 私有地で遊園地などにあるようなミニ鉄道を走らせたり、線路を敷いて小型の機関車を動かしたりする程度なら実例がないこともないが、電車は複数の車両でユニットを構成しており単体では動かせないため、仮に直流1500ボルトの電気を調達できたとしても、個人レベルでは不可能だ。それでも自分の電車を手にしたいというならば、中古の鉄道車両を購入して敷地に飾るのが唯一の選択肢だろう。

 では、個人が鉄道車両を買うことはできるのかというと、タイミングによっては可能だ。古くは1989年、営団地下鉄(現東京メトロ)が丸ノ内線を引退した車両6両を1両40万円で一般販売したことがあり、バブル絶頂期だったこともあってか応募が殺到し、抽選により売却先を決定したという逸話がある。仲介業者やコネを使って買う手もあるが、なかなか個人にはハードルが高い。