PHOTO: ERIC LEE FOR THE WALL STREET JOURNAL
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下での米政府の政策対応を受けて、いざという時の緩衝材となる貯蓄が拡大しているほか、金利負担が減少しており、家計や企業の財政状態には異例なほどの余裕がある。また、高インフレを抑制する米連邦制度準備理事会(FRB)の任務がより困難になる可能性がある。
FRBはインフレが定着するのを防ぐため、経済成長を減速させようとしている。そのため、FRBは今年、積極的な利上げを行っており、11月1~2日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)でさらに0.75ポイントの追加利上げを実施する可能性が大きい。これにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75~4%のレンジに達する。
一部の当局者は、今週の会合後に利上げペースを落とすべきだと主張しているが、利上げペースをめぐる議論により、最終的に金利をどの水準まで上げるかというより重要な点が不明瞭になる可能性がある。9月中旬のFOMCで公表された経済見通しでは、ほとんどの当局者が政策金利は来年初めまでに少なくとも4.6%に達すると予想していた。
しかし一部のエコノミストは、特に、金利上昇に対する支出の感度が低下していることを理由に、4.6%を超える水準まで金利を引き上げる必要があると考えている。
ボストン連銀のエリック・ローゼングレン前総裁は「経済が金利上昇に対してこれまで見せてきた耐性を踏まえると、実際にその金利水準で十分かどうかが大きな問題となるだろう。FRBが現在示唆している度合いをやや超える対応を迫られるリスクがある」と述べた。