行政通知に関して、紙ではなくスマホ通知であれば
トラブルが防げたと回答した人の割合

近年、金融機関やクレジットカード会社による通知は、紙の郵送からメールやアプリ通知へと大きく様変わりしてきた。紙は印刷や郵送などのコストがかかり、環境面からもペーパーレス化が望ましい。大手銀行がデジタル通帳を原則とする中、紙からデジタルへの移行はさらに加速しそうだ。
他方、依然として紙文化が根強いのが行政の現場だ。e-Tax(国税電子申告・納税システム)などデジタル化が進んでいる領域もあるが、自治体では多くの納付書や通知書などを郵送するケースが多い。今後は市民から行政への申請・届け出の電子化に加え、行政から市民へ届く通知物の電子化が進んでいくだろう。
全国20~69歳の男女(マイナンバーカード所持者)を対象とした民間の調査(xID調べ)によれば、全体の約半数(46%)が紙の行政通知によるトラブルを経験している。具体的には、「紙の保管場所を忘れた(27%)」「提出期限を過ぎた(16%)」「通知を見落とした(13%)」などだ。また、約7割(69.6%)が紙ではなくスマートフォン通知であれば、このようなトラブルを防げたと回答している。
通知物の電子化には期待が集まる一方、市民の不安をどのように解消するかが課題だ。巧妙なフィッシング詐欺が多発する中、メールに対する市民の警戒感は強い。調査でも、「通知が本物か分からない(27%)」「行政を装う通知を受け取ったことがある(16%)」「詐欺の不安から開かずに削除した(13%)」「行政からの通知か判断できない(12%)」といった声が挙がっている。
そこで活用したいのがマイナポータルの通知機能だ。通知を受け取るにはマイナンバーカードでマイナポータルにアクセスし、「お知らせ」を選択する。この機能は行政機関や日本年金機構など信頼できる機関しか利用できず、マイナンバーカードがなければアクセスできない。そのため、居住自治体に依存しない安心かつ安全なデジタル窓口として機能する。
この機能はe-Taxや年金などで活用されてきたものの、自治体では十分に普及していない。全国の自治体がこの機能を利用すれば、膨大な郵送コストや紙の削減につながるだろう。マイナンバーカードの保有率が81%を超えた現在、実務に即した活用の早期実現へと踏み切るべきだ。
(行政システム顧問 蓼科情報主任研究員 榎並利博)







