米政府は長年、チタンの世界市場が米国の主要な敵対国であるロシアと中国に依存し過ぎていることを懸念してきた。この極めて重要な金属の主要生産国であるウクライナが今、その依存度を下げる役割を果たすことを目指している。しかし、この問題に詳しい複数の関係者によると、新たな供給国として取って代わるウクライナの取り組みは、国内の政争や継続する戦争に妨げられている。米国の産業界と国家安全保障関係者は、金属チタンの基礎となるスポンジチタンが国内生産できていない問題にどう対処するかを議論している。鉄よりも強くて軽く、航空宇宙産業に不可欠なチタンは、ますます地政学的な道具とみなされつつある。ワシントンの当局者は、中国が原料市場とスポンジチタンの生産を支配し、ロシアが航空宇宙産業級の金属チタンの供給を掌握することを懸念している。中ロが連携して米航空宇宙産業を無力化しかねない。米製造企業が近いうちにチタンスポンジの生産を再開する見込みは低く、米国は代わりの供給先を確保しようとしている。