英国トラス首相在任期間における
英30年国債価格の最大下落率

英史上最短のトラス政権は世界経済の課題の象徴、日本の国債市場は機能不全英国トラス首相在任期間における英30年国債価格の最大下落率 出所:Haver Analytics

 英国史上最短の45日で終わりを迎えたトラス政権。政権交代をもたらしたポンドと国債価格の急落、その後の戻しの振れ幅はすさまじかった。

 英30年国債の金利は就任時の3.4%から9月末には5.1%まで急上昇した。わずか3週間で国債の価値が30%も下落したことになる。

 原因は就任直後に打ち出した「ミニ予算」が放漫財政と受け止められたことだ。エネルギー危機を受けて減税を伴う大規模支援策を打ち出す一方、中期的な財政再建戦略を示すのに後ろ向きだったことで市場が大きく反応した。

 事態は一時金融システム不安にまで発展した。英国の年金基金は低金利環境でリターンを確保するために複雑な投資戦略を採用しており、そのアキレス腱が超長期金利の急上昇だったのだ。