うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!
あえて小声で伝えることで、特別感を強調する
<NG>それはできません
↓
<GOOD>今日だけ、特別に(小声で)
あるホスピタリティが素晴らしいと有名なホテルに、アフタヌーンティーセットをいただきに行ったときのことです。オープンと同時に行ったにもかかわらず「今日はすでにご予約のお客様で、セットは売り切れてしまいました」と言われ、とても残念な気持ちになりました。予約が必要なほど大人気とは知らなかったのです。
気持ちを切り替え、通常のデザートを注文しようとメニュー表を見ていると、スタッフの方が笑顔で駆け寄ってきました。
「シェフに確認したところ、あと1セットだけは作れるとのことでしたので、今日だけ、特別にご注文いただけます」とお声かけくださったのです。「今日だけ、特別に」という部分を小声にし、暗に強調されました。ホスピタリティで有名なホテルといえども、ここまでは期待していなかったので、跳び上がるほど大喜びしてしまいました。そして「さすがだなあ」と感動しました。
どんなお仕事でも、お客様のご要望とこちらが提供できることが合わないことはあると思います。どんな要求にも応えましょう、と言いたいのではありません。なぜなら、一歩間違えると「このあいだの別の方はやってくれたのに、今回はやってくれないの?」と逆にクレームになることも考えておかなければならないからです。
「できません」で終わらせるのではなく、できることはないかを考えてみる。そしてできることが見つかったときには、「今日だけ、特別に」と小さな声で伝えることで、クレーム対策もしながら、特別なサービスができるのではないでしょうか?
※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作