この小さくて暑い超過密状態の島から、約1200人の先住民クナ族が、距離は短いものの歴史的な大脱出にまもなく乗り出す。来年、ガーディ・シュグダブ(カニの島の意味)の住民のほとんどが、1世紀以上にわたって暮らしてきた、かやぶきとトタン屋根の家々を離れ、約1マイル(1.6キロ)離れたパナマ本土に向かう。科学者らによると、気候変動による潮位の上昇で、この島は今後数十年のうちに海に飲み込まれる運命にある。そうなる前に島の住民たちを移住させることを政府が決めた。先を見越して住民を移住させるのは中南米では初のケースだ。「潮が満ちると、海水が家に入ってきて、荷物を高い場所に移さなければならない」と、島の小学校でコンピューターサイエンスを教えるプラグナベン・モーハン氏は話す。学校の教室の一つにまで海水が押し寄せ、教諭や児童はゴム長靴で中に入らなければならないという。