書籍や映画になってヒットした『ビリギャル』(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』)でモデルとなった小林さやかさんの現在をご存じだろうか。映画のヒット後、勤めていた会社を退職し、教育・学習についての講演活動を続けてきた。そして、2022年秋、ニューヨークにあるコロンビア大学大学院に留学している。留学の直前の6月に、小林さんはあるイベントのスピーチで決意表明をした。そのスピーチが感動すると話題になっている。彼女のスピーチで優れていた点を解説しよう。(株式会社カエカ代表 兼 スピーチライター 千葉佳織)
ポジネガポジネガ…聞き手側の感情に波を作る
小林さんは数年前から講演活動を500本以上もこなしていたが、「もっと伝え方を良くしたい」と1カ月半程度、弊社の伝え方トレーニングを受け、スピーチの原稿ライティングも共同で準備を行った。
小林さんはアウトプットの経験が多かったこともあり、原稿制作の段階からコアメッセージが明確だった。「やってみなきゃわからない。挑戦しよう」というシンプルな呼びかけと、「なぜ今コロンビア大学大学院に進学するのか」「日本の教育のあり方の変革を目指す」と伝えたいことがクリアだったのだ。
伝えたいことがはっきりしている場合、次に重要なポイントは、「どの順番で何を話せば、人は興味を持つのか」である。
そこで取った方法が「エピソードによる感情の起伏」と「聞き手の感情の波の生成」であった。
次ページ以降で、小林さんのスピーチの動画で見てほしい。動画に対して、「感動して涙が出た」というコメントも並んでいる。動画を見ながら、心に刺さるスピーチのポイントを学んでみよう。