お笑い芸人・江頭2:50氏のスピーチが伝説級だと注目を集めている。4月に代々木アニメーション学院で行われた「2022年度入学式スピーチ」だ。サプライズとして江頭さんが登場し会場が驚く中、約700人の新入生に向けて思いを語ったのだが、さまざまなテクニックが隠されている。(株式会社カエカ代表 兼 スピーチライター 千葉佳織)
「伝説のスピーチ」を自ら仕掛け、バズる
江頭2:50の言葉が刺さるのはなぜか
私はこれまでさまざまなスピーチを分析してきたが、お笑い芸人はスピーチ力にたけていると感じる。
自分のパーソナリティーにあった言葉の選別、どこでどんな言葉を言えば、相手はどのような反応をしてくるのかに仕事柄敏感であるのは間違いないだろう。江頭2:50氏のスピーチは、言葉の工夫・非言語表現が人柄とマッチし、シンプルかつ完成度が高い。
また、面白いのは【伝説のスピーチ】と呼ばれることを自ら仕掛けにいっていることである。【伝説のスピーチ】と誰かが言い始めたのではなく、江頭さんのYouTubeチャンネル(公認切り抜きチャンネル)にアップロードされる時から動画のタイトルにはこの文言が入っていた。
〈若者の心も揺さぶる江頭だからこそできる伝説のスピーチ。大人も絶対に聞くべき言葉。【エガちゃんねる】【伝説のスピーチ】〉
もちろん、そのタイトルにふさわしい出来栄えとインパクトを残しているからこそバズっている。彼のスピーチが良いのは、キャラの意外性やこれまでの芸人としての功績のイメージによるものだけではない。スピーチそのものが心に刺さるように、しっかり構成されているのだ。早速、スピーチをひもといていこう。