ミライザカPhoto:Diamond

行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はコロワイド、ワタミ、大庄の「居酒屋」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

驚異的な四半期増収率だが
「コロナ前」と比べた復活度は?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下の居酒屋業界3社。対象期間は2022年5~9月の直近四半期(大庄は22年6~8月期、その他2社は22年7~9月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・コロワイド
 増収率:36.6%(四半期の売上収益534億円)
・ワタミ
 増収率:44.8%(四半期の売上高212億円)
・大庄
 増収率:82.6%(四半期の売上高96億円)

 居酒屋業界の3社は、いずれも前年同期比で驚異的な増収率を記録した。新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受けてから、着実に売り上げを立て直している各社だが、「コロナ前」の水準と比較するとどの程度まで回復しているのか。

 また、原材料価格の高騰、急激な円安、物流費上昇の「三重苦」が襲い掛かる中、しっかりと利益を生み出すことができているのか。

 3社の現状を比較すると、共倒れ状態だった従来から一転し、「完全復活」がまだ遠い企業と、着実に回復しつつある企業に二極化していることが見て取れた。具体的には、コロワイドと大庄が営業利益も最終利益も赤字に沈む中、ワタミはどちらも黒字を死守した。

 次ページではその実態を、時系列データを踏まえて詳しく解説する。