日本では労働年齢の人口が不足する地域が多く、地方自治体の職員らが農家の手伝いに駆り出されている。ある週末、加藤吉晃さん(33)は青森県弘前市の農園で、数人の高齢女性に混じってリンゴを収穫していた。そして時折、リンゴの入ったカゴを運んでカートに載せると、今度はそのカートを運転してサイズ・品質別に仕分けする作業場へと向かった。「普段デスクワークなのでリフレッシュになる」。弘前市観光課主事の加藤さんはそう話す。彼は、果汁たっぷりのリンゴの産地で知られるこの地域で、週末の農作業に、通常の給料の半分以下の時給860~1000円前後で投入される十数人の市職員の一人だ。「これは地元の基幹産業を守る次の一手だ」と、地元のリンゴ農家を支援する弘前市りんご課の係長、榊真一さんは言う。弘前周辺の農家を対象にした調査では、高齢者が多くを占め、8割が人手不足を心配していることが分かった。