ウクライナで停電が長期化、ロシアに増す怒り首都キーウはこの1カ月、停電に悩まされた。暖房や電力・水の不足に苦しむ中、冬は始まっている

【キーウ(ウクライナ)】ウクライナの首都キーウ(キエフ)のある病院で先週、医師たちがクセニア・マイカンさん(50)の息子デービッド君(14)の手術を行っていたとき、マイカンさんは爆発音を2度聞き、手術室の電気が消えるのを目にした。

 ロシア軍がこの日の朝、ウクライナ全土の標的に向けて再びミサイルによる一斉攻撃を仕掛けたため、キーウを含む主要都市では再び停電が発生した。病院の職員は患者やその家族を急いで防空壕に連れて行こうとしたが、マイカンさんは先天性疾患の治療で心臓手術を受けていた息子のそばにとどまることを選んだ。重要機器を動かすために発電機が作動し、助手が照明器具で少年の胸部を照らす中、医師たちは手術を続けた。

 マイカンさんは「私たちが平和に暮らしていた都市を攻撃し、日常生活を妨害した国家に大きな怒りを感じる。同時に、命をかけて私たちを助けた医師たちには感謝の気持ちでいっぱいだ」と話した。

 この5年で2度目となる手術を受けていたデービッド君が23日に置かれた状況は、暖房や電力、そしてしばしば水の不足に苦しむウクライナ人が日常的に直面している問題と、それに堪え忍ぼうとする彼らの決意を示す端的な事例の一つだ。

キーウの心臓研究所所長で心臓外科医のボリス・トドロフ氏は、発電機で重要機器を動かしデービッド・マイカンさんの手術を続行したキーウの心臓研究所所長で心臓外科医のボリス・トドロフ氏は、発電機で重要機器を動かしデービッド・マイカンさんの手術を続行した