筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。私の探偵歴10年の中でさまざまな案件を取り扱いました。ご相談いただく内容としては、浮気調査と素行調査が最も多く、その次に多いのが人捜し調査です。一口に人捜し調査といっても失踪人調査や、お墓やペット捜しまで種類は多岐にわたります。その中でも最も多いのは家出人調査です。家出には本人の能動的理由と受動的理由がありますが、それぞれ捜し方は違います。能動的の場合、立ち寄り先や所在の確認は、家出人の人間関係や経験を元にするのである程度絞ることができます。しかし受動的の場合は不確定要素が多分に影響するため、発見に手こずることがしばしばです。監視カメラなどから足跡をたどれる警察の捜査方法を使えない探偵にとっては、情報と可能性の追求が捜索の大きな要因となります。今回は過去にあった能動的と受動的が混在した、人捜し調査をご紹介いたします。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、登場人物はすべて仮名)
発達障害の娘が行方不明
死んでしまうと心配する母
「娘がいなくなりました!捜してください!」
私は突然の電話に驚きましたが、「お願いします!お願いします!早く見つけてあげないと娘は死んでしまいます!」と泣きながら訴える山本と名乗る女性をいったん落ち着かせて詳しく話を聞いてみました。
捜している娘さんは17歳、高校生の麻美さんで、見た目は女優の木村文乃さん似のかわいらしい顔立ちをしていました。ただ、その見た目やちょっと話しただけでは分からないのですが、発達障害があり、話の内容はほとんど理解できておらず、興味があることが目に入ると夢中になってしまったり、素直すぎるあまり誰にでもついていってしまうことが時々あったそうです。