前回は私の探偵歴10年の中で取り扱った案件の中で、さまざまな事情により調査を途中で停止した事例を紹介しました。探偵業界では「キル」と呼ばれ、どういった理由で発生するのか、そしてその決断材料についても触れました。その中で、3%という数字の通り、本当にまれなケースではありますが、長く探偵をやっていると犯罪に関わる依頼があります。今回は「調査中に対象者や依頼者が罪を犯すケースについて」具体的な例を挙げて紹介します。(探偵芸人オオカミ少年 片岡正徳、登場人文はすべて仮名)
26歳妻の不貞調査依頼
週末の朝帰りを尾行
依頼者は、上野さん(32歳、男性)でした。結婚して3年目の上野さんは、妻の浮気を疑っており、不貞の証拠を撮ってほしいとの依頼内容でした。調査依頼に至る経緯を対面して聞きました。
対象者である妻のくるみさん(26歳)が、ここ3カ月、週末の夜になると、双子の妹と車で出かけ、朝方まで帰ってこないことが多くなったようで、時には首元にキスマークのようなアザを付けて帰ってくるそうなのです。まだ子どももいないので、離婚を前提に調査を進めたいというご希望でした。
特に上野さんには、不審な点は見当たらず、婚姻関係も確認できたので、契約書を取り交わし調査の準備に取りかかりました。