2022年はインフレのせいで全ての労働者が不幸に見舞われた。しかし、この年の最も重要な経済現象は、異なる労働者層の間で起こったことかもしれない。コロナ禍以前の数十年間、低賃金でスキルの低い時間給労働者の賃金は、熟練工や大卒者、管理職、専門職の賃金に一貫して差をつけられてきた。だがこの2年間で、こうした傾向は急激に逆転している。この格差の縮小が今後も続くかどうかは分からない。半導体不足の事例と同じで、おそらく労働力不足が背景にあるのだろう。コロナ禍の影響が弱まるとともに労働力不足は解消するかもしれない。あるいは労働市場の逼迫(ひっぱく)のためかもしれないが、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を冷え込ませようとしているため、それも長くは続かないだろう。