「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【牛乳は1日1杯まで!】医者が、牛乳の代わりに「子どもに飲んでほしい飲み物」とは?Photo: Adobe Stock

牛乳を飲みすぎると何が起きるの?

「牛乳を飲むと背が伸びる」と、誰もが一度は聞いたことがあるはずです。熱心にお子さんに牛乳を出している親御さんも多いと思います。しかし、牛乳は鉄の吸収を阻害してしまうため、毎日ガブガブとたくさん飲んでいると鉄が不足して[*92~95]牛乳貧血になることがあります。1日200mlぐらいまでを目安にしましょう。

 1日に2杯以上の牛乳を飲むなら、そのうちの1杯をアーモンドミルク、もしくはオーツミルクなど、お好みの植物性ミルクに置き換えるとよいですね。

アーモンドミルクとオーツミルクって何?

 アーモンドミルクは乳白色なので、「アーモンド入りの牛乳?」と思うかもしれませんが、おもな原料はアーモンドと水です。アーモンド自体に強い抗酸化物質であるビタミンEが豊富に含まれているため、アーモンドミルクもビタミンEが豊富です。1カップ(200ml)に10mgのビタミンEが含まれています。

 たとえば6~9歳児の1日のビタミンE摂取目安量は5.0mgなので、1杯でクリア(摂取目安量は病気にならないための量の目安)。上限は300~350mgなので過剰摂取にはなりません。

 オーツミルクはオート麦からできた植物性ミルクです。コップ1杯(200ml)中に3gの食物繊維が含まれます。ちなみに1日あたりの食物繊維の摂取基準は、6~7歳児で10g以上、8~9歳児で11g以上、10~11歳児では13g以上となっています。

 なお、オーツミルク1杯に含まれるカルシウムの量は、アーモンドミルクの4倍で、牛乳に匹敵します

 アーモンドミルクやオーツミルクは無糖のものをおすすめします。飲みづらい場合は、甘味のついたタイプもあります。そちらを試してみましょう。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・改変したものです)

*92 Kazal LA Jr. Prevention of iron deficiency in infants and toddlers. Am Fam Physician. 2002; 66(7): 1217-1224.
*93 Sadowitz PD, et al. Iron status and infant feeding practices in an urban ambulatory center. Pediatrics. 1983; 72(1):33-36.
*94 Tunnessen WW Jr, et al. Consequences of starting whole cow milk at 6 months of age. J Pediatr. 1987; 111(6 pt 1):813-816.
*95 Pizarro F, et al. Iron status with different infant feeding regimens: relevance to screening and prevention of iron deficiency. J Pediatr. 1991; 118(5):687-692.