「夢をかなえるゾウ」が大人にこそ夢が必要だと説く理由ゾウの頭を持つインドの神様「ガネーシャ」が登場する大人気シリーズの「0」巻。パワハラ課長に日々悩まされる「夢」のない主人公のもとに降臨したガネーシャが、主人公に“本物の夢”を見つけさせるために課題を課す、というストーリー(写真はイメージです) Photo:PIXTA

おすすめポイント

「夢は何ですか?」と聞かれて、即答できる大人がどれだけいるだろう。子供のころにさんざん書かされた「将来の夢」という作文は、社会に出て現実を知るうちにいつしか色褪せ、忘れ去られていく。社会は「夢」を捨て、現実を見ることを要求する。そして、日々の仕事に忙殺される中、ふと我に返り「なんでこんなことしてるんだっけ?」と呆然とするのだ。「夢」は子供だけのものではない。むしろ大人にこそ、「夢」が必要なのだと本書『夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク』は説く。

『夢をかなえるゾウ0  ガネーシャと夢を食べるバク』書影『夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク』 水野敬也著 文響社刊 1680円(税込)

 本書は、ゾウの頭を持つインドの神様「ガネーシャ」が登場する大人気シリーズの「0」巻である。実用書としては珍しく、小説となっている。パワハラ課長に日々悩まされる「夢」のない主人公のもとに降臨したガネーシャが、主人公に“本物の夢”を見つけさせるために課題を課す、というストーリーだ。ガネーシャは軽妙な関西弁でしょうもないギャグを飛ばしまくり、お供の口の悪いバクは驚くようなボキャブラリーの豊富さで罵詈雑言をまき散らす。「夢」がなく、日々の生活の中で擦り切れそうになっている主人公の姿は、他人事ではない。主人公を取り巻く状況は過酷なものがあるが、2人(2匹?)のおかげで明るい気持ちで読み進められる。

 本書では、シリーズを通して活躍するガネーシャの生い立ちや、人間の夢を叶える理由が明かされている。シリーズのファンならば必読の一冊だ。もちろん、シリーズを読んだことがない人でも十分に楽しみ、学ぶことができる。主人公とともにガネーシャの課題に取り組み、自分だけの「夢」を探してみてはどうだろうか。(千葉佳奈美)