「こんまり」こと近藤麻理恵は、今や世界で最も知られる日本人の一人。彼女の世界進出を手がけてきたプロデューサーであり夫でもある私の書籍『Be Yourself』が発売されました。今回は昨秋、天狼院書店で開催されたベストセラー作家水野敬也さんとのトークイベントの様子を紹介します。前編「作家・水野敬也が語る「手放しで自分を認めてくれる人を見つけよう」」中編「作家・水野敬也「自己肯定感を高める出会いはいくつになっても起こり得る」」に続き、後編ではイベント参加者の質問に答えていきました。(構成:宮本恵理子)

ベストセラー作家の水野敬也さん(写真左)と川原卓巳さん(Photo/曽川拓哉)

川原卓巳さん(以下、川原):ここから、会場の質問にもお答えします。

質問者1:「自分らしく」と「わがまま」の違いについて教えてください。

水野敬也さん(以下、水野):やはり愛情があるかないかの差かなと僕は思います。例えば、相手に対して「それはダメだ」と怒らないといけない場面でも、愛情やリスペクトがゼロだと自分を押し付けているだけ。愛情による叱責ならば、自分という軸があってのコミュニケーションだと言えると思いますね。

川原:同感です。重要なのは、その振る舞いに思いやりがあるかないか。相手のことを考えていたら自分らしい状態で、自分ことしか考えられていなければわがままでしかない。

『Be Yourself』の最後にも書いたのですが、究極の自分らしい状態って、自分のことを一切考えなくなったときなんです。誰かのためにできること、世の中に役立つことのために自分を活かそうとし続けると、「自分のため」を考える余地がなくなっていく。これを「無我の境地」と呼んでいます。

水野:なるほど。かといって、相手や世の中に合わせすぎてしまうのもいけないから、バランスも大事なのでしょうね。

質問者2:自分の価値を認めてくれる人と出会うまで動き続けるときに、どっちへ動いていくか、方向性を見極めるコツがあれば教えてください。

川原:難しく考え過ぎずに、好きなように動くのが一番。「こっちが正解かな?」と慎重になっている時点で、時代の振り子を追いかけている状態だから。好きなように動いているうちに、いつか出会いがやってくる。それでいいと思います。

水野:目的化しすぎちゃうと本質を見失うということですね。僕もよく、「有効なインプットをするにはどうしたらいいですか?」と聞かれるのですが、やっぱり「思うがままに」が回答になります。

 最近、僕がはまっているインプットでいうと、中島みゆきの歌唱映像を見ることですかね。「地上の星」「背広の下のロックンロール」とか、中島みゆきさんは、「名もない誰かの偉大さ」を歌い上げる名手です。

 中島みゆきソングを聴いて感じたことは、これから完結編に向かっていく『夢をかなえるゾウ』シリーズに込めたいメッセージ、「真の偉大さとは何か」にも自然と影響するでしょう。

 しかし、それを最初から意図して「よし、作品に生かすインプットとして中島みゆきを聴こう!」とは思ってないわけです。

川原:やっぱり水野さんも、ご自分の感性に委ねているんですね。

水野:そうですね。頭で考えるのではなくて、ピンとくるものに反応するというか。「ピンとくる」という感覚は、ひょっとしたら「ときめく」に近いのかもしれないですね。

川原:近いと思います。

水野:そういう感覚って、本当は誰もが持っているはずで。だけど、それを感じにくい環境や状況になっている。感覚を取り戻していく回復のプロセスを、こんまりさんや川原さんは提唱されているのだということが分かりました。

川原:最大の課題は、教育だと思っています。昭和の大量生産型の社会では、個人の感性を閉じる生き方のほうが有効でした。そうしないと、工場ラインが乱れてしまいますからね。

 でも、今は世の中がガラリと変わって、「もっとクリエイティブに、新しい価値を生み出せ」と言われるようになりました。

 それなのに、教育システムだけは変わっていません。僕と麻理恵さんは、たまたま自分の感性を大切にする生き方をしてきて、その結果、世界で評価される場所まで進むことができた。

 これは新しい生き方の一つの証明として差し出せるのではないかと考えて、『Be Yourself』という本を書こうと決意したんです。

 自分の感性を信じて行動できる人をもっと増やしたいし、それによって生まれる幸せや成功をたくさん見届けたいというのが、著者としての願いです。