「こんまり」こと近藤麻理恵は、今や世界で最も知られる日本人の一人。彼女の世界進出を手がけてきたプロデューサーであり夫でもある私の書籍『Be Yourself』が発売されました。本書で伝えたのは、自分らしく輝くことの大切さ。今回は昨秋、天狼院書店で開催されたベストセラー作家水野敬也さんとのトークイベントの様子を紹介します。水野敬也さんと川原卓巳さんの共通点は「手放しで自分を認めてくれる人」がいること。そんな存在をどうやって見つければよいのでしょうか。(構成:宮本恵理子)
川原卓巳さん(以下、川原):水野さん、今日はお時間いただき、ありがとうございます。『夢をかなえるゾウ』シリーズをはじめとする水野さんの作品、楽しませていただいています。
水野敬也さん(以下、水野):こちらこそ、ありがとうございます。川原さんのまさかの登場スタイルに動揺しています(笑)
川原:失礼しました(笑)。どうしてもやりたかったんです。
水野:こういうお茶目なサプライズをする人が、全米で大成功してNetflixで大ブレイクした(片づけコンサルタントの)近藤麻理恵さんのプロデューサーなんですから、驚きますね。ハリウッドセレブと同じ舞台に立って、緊張することはないんですか?
川原:実は逆にハリウッドセレブから「Are you Marie Kondo?」と寄ってきてくださることも多いんです。ありがたいことに。
水野:すごいですね。川原さんの著書『Be Yourself』も早速、読ませていただきました。僕が一番グッときたのが「てっぺんを目指さなくていい」という言葉でした。
まさにエンターテインメントの一流のステージで活躍している人が、「てっぺん取らなくてもいいんじゃない?」と投げかけてくれることに安心できたんです。夢に縛られて、本当はやりたくないことを続けている人たちを解放してくれる言葉じゃないかと思いました。
川原:ありがとうございます。これは、僕たち夫婦の経験から感じたことで、たまたま今は「世界で一番有名な日本人」とも言われるような状態になっていますが、麻理恵さんも僕も、それを目指したことは一度もないんです。
片づけを通してたくさんの人の人生を豊かにしたいと思っているだけで、やればやるほど「やっぱり片づけの価値は素晴らしいよね。もっと多くの人に知ってもらうには何をしたらいいだろう?」と考えて、できることを続けてきた。その結果、いつの間にかすごい場所にたどり着いていただけなんです。
水野:なるほど。世界一にならなくてもよかったし、ただ、自分らしさを磨き続けた結果の今でしかない、と。
川原:おっしゃる通りです。僕が麻理恵さんと一緒に仕事をするようになったのは2013年くらいからですが、彼女はその頃からとにかく「日本の片づけを終わらせたい」と言っていました。
水野:衝撃を受けました。日本列島の片づけを終わらせる……? それって完全に坂本龍馬の「日本を洗濯するぜよ!」と重なるじゃないですか(笑)。
川原:僕、完全に侵されていますね。今の今まで、普通に受け止めていました。
水野:ええ!? それ聞いたとき、「龍馬かーい!」ってならなかったんですか?「うんうん、日本の片づけ、終わらせたいね」「一緒にいこう!」となったわけですか?
川原:はい、なっちゃいました。
水野:川原さん、すごいなぁ!
川原:「わかった。そうなるためにできることをやろう」と、片づけを仕事にする人を増やすための資格の仕組みをつくったり、テレビ出演や講演を頑張ったりしてきたんです。
すると、「本をアメリカで出さないか」というオファーが2014年に来て。そのときも正直、「なんで?」って思ったんです。だって、イメージしてみてください。あれほど国土の広いアメリカで、広い家に住んでいるアメリカ人に、片づけの悩みはあるのかと疑問だったわけです。
でも、蓋を開けてみたら、「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーランキングでは70週以上連続で1位を取るという結果になりました。
アメリカで出版した直後、小さな書店でイベントをしたときも、来てくださった方々が感動で泣いていて。「この本を読んで片づけをして、本当に人生が変わった」と言うんです。
日本とまったく同じ反響を受けて、「そうか。やるべきことはここでも同じなんだ」と気づいて、今に至ります。
水野:アメリカの書店で日本人がイベントを開いて会場が涙するって、想像するとすごいことですね。自分らしさを貫いたらそこまでいける。
でも、誰でもそうなれるとは限らないですよね。どうしたらいいんでしょうか?