髪の毛を触る回数にも目を配っています。髪の毛をかき上げたり、撫でたりするくせがあると、周囲の視線を引き寄せようとしているので自己評価が高くナルシスト気質の表れ。見た目はもちろん、性格とかも褒めてあげると、承認欲求を満たしたり、安心感を与えたりできるので、信頼関係が深まりやすいです。

 頭をくしゃくしゃとかき乱す回数が多いと、仲間意識が強く、自分の居場所を探していたりするお客様であることが少なくありません。こういうお客様の場合は、イジったり、ツッコんだりと、夫婦漫才コンビの感覚で接すると、愛着を育むことができます。

 稀にですが、僕はお酒や氷(アイス)の取り換えをヘルプに任せないことがあります。わざわざ席を離れて何をするかというと、遠くからお客様の口元を観察しています。口元がよく動き、独り言を呟いているお客様は、頭の中がパンクしていてストレスが溜まっているか、あるいは呟くことで周りの注意を引いているので、「周囲から期待されたい」といった自己顕示欲が強い特徴があります。このケースでは、同調や共調を軸にしてお客様の自分語りが中心になるよう会話を展開していけば、ストレスの発散にも、自己顕示欲の充足にも、どちらにも対応することができます。

 僕の場合、先輩から嫌われない方法として中学の頃からくせになっていますが、視線は、お客様の関心事を手っ取り早く把握するのにうってつけです。会話の最中に真っすぐ僕の目を見るお客様は、客とホストではなく、対等な関係に心地よさを覚えやすい傾向が強い。かたや、僕の全身を下から上まで舐めるように見るお客様は、商品価値を品定めしている証しです。ホスト降矢まさきというブランド体験を通し、極上のおもてなしと、気持ちが満たされていくカタルシスを味わってもらいます。

 このように顔、表情、仕草は、言葉よりも雄弁にお客様の深層心理を物語ってくれます。慣れてくると僕のように感覚で理解できるようになります。ぜひ、デートやビジネスに取り入れてみてください。損はないはずです。

一流ホストが使う
「特別感」を出すフレーズ

 ここまで、仕草や表情などからお客様の深層心理を読み解く、僕なりのチェックポイントの一部を紹介しました。もちろん、接客中の会話からもお客様の心底を洞察することは可能です。しかし、洞察した結果が見当違いにならないようにするには、いかに質の高い情報を仕入れるかがカギを握ります。

 では、お客様の本音に限りなく近い言葉を引き出すには、どうしたらいいのでしょうか。難しく考える必要はありません。「このホストは信頼できるかも」「降矢まさきになら何でも話せるかも」といったお客様と信頼関係を築くのは、皆さんが思っている以上に簡単です。お客様から本音を引き出すには、こちらからどんどん自分の情報を伝えていく。これだけでいいのです。

 伝え方で意識すべきは、知りたいテーマに関する情報をこちらから先に打ち明けるという点です。例えば、お客様がホストの世界に興味を抱いたきっかけについて知りたければ、「20代半ばまで僕は建築会社の社長だったけれど、もっと輝ける世界があるんじゃないかと思って。ホストになる年齢としては遅いのはわかっていたけど、自分の力を試してみたくてさ」とか。相手のコンプレックスについて知りたければ、「僕は、目がコンプレックスなんだよね。子犬みたいで女々しいから、ドーベルマンのような雄々しくて鋭い目になりたい。毎日、鏡で練習しているんだよ」とか。こうしたプライベートな内容を先に話してくれたという事実そのものが、お客様に信頼感を芽生えさせるのです。

 また、「お客様だけに言いますが」とか、「誰にも話したことはないですが」と、特別感を醸し出すフレーズを枕詞に添えることで、相手の気持ちをグッと引き寄せることができます。逆に、「どうしてホストクラブに遊びに来たのですか?」など、知りたい内容を直球で聞いてしまうと、「探りを入れられているのでは」とお客様は警戒心を強めてしまいます。一度、そうなってしまうと、心の鎧を脱がせるのは厳しくなるので、注意してください。