米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国人の賃金上昇ペースがあまりに速いため、インフレ率を望ましい水準まで引き下げられないのではないかと警戒している。危惧されるのは、インフレ問題を解消する代わりに、国内労働者がこの数十年に失った経済のパイを取り戻すのを妨げかねないことだ。最近では人件費の伸びが鈍りつつあるものの、FRBからすれば不十分だ。米労働省が先週発表した2022年10-12月期の雇用コスト指数(賃金・諸手当全体の動向を示す指数で、FRBが注視している)は前期比で1%上昇した。伸びはここ最近の四半期よりも小さかったが、それでも前年同期比の伸びは5.1%に達した。ジェローム・パウエルFRB議長は昨年11月のブルッキングス研究所のイベントで、「われわれは賃金が力強く上昇することを望んでいる」と明言した。「ただしその上昇率は、生産性に関する基本的な仮定の下で、長期的に2%のインフレ率と整合的な水準でなければならない」