たばこ会社は今のところ、新しい無煙製品に数十億ドルを投資しつつ、従来のたばこから利益を得ることでなんとかバランスを取っている。だが、米国のたばこ市場はこのバランスを危うくする転換点に近づいている。2022年に米国の紙巻きたばこ(シガレット)販売は例年になく低調だった。「ラッキーストライク」などのブランドを持つ英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は9日、米国の紙巻きたばこ販売量が2021年と比べて15.5%減少したと発表した。「マールボロ」ブランドのたばこを製造する米アルトリア・グループは、通期の紙巻きたばこ販売量が9.5%落ち込んだことを明らかにしている。販売量減少の理由は、一つには新型コロナウイルスの大流行後に喫煙のパターンが通常に戻ってきていることが挙げられる。コロナ下では自宅に閉じ込められた人々の喫煙回数が増加していた。だが、インフレと金利上昇、ガソリン価格の高騰などで、喫煙者は節約のためにディスカウントブランドに切り替えたり、全面的な禁煙に走ったりもしている。