スマートフォンの存在によって、現在のウクライナでの戦争は、歴史上最も詳細な記録が残される戦争になろうとしている。こうしたスマホの情報は、戦争の形態を変化させ、世界の認識を変容させつつある。ウクライナ国内と周辺諸国に存在する何百万台ものスマホは、特定の場所と時間のデータを提供するセンサーになり得る。スマホに搭載されたマイクとカメラは、戦争の真実を捉えた音と映像を記録・送信する道具にも、プロパガンダの道具にもなり得る。スマホの記録は、捜査担当者らが戦争に関する膨大な映像証拠を構築するのを可能にする。そうした証拠は、最終的に戦争犯罪の断罪につながるかもしれない。スマホの情報は、スマホ利用者が意図していたか否かにかかわらず、攻撃目標の特定や、被害状況の確認に利用されてきた。市民はスマホによって軍に攻撃目標の情報を伝える手段を手に入れた。それは、民間人と軍人との区別をあいまいにする。ロシアでもウクライナでも、市民はスマホを使って軍服やドローン(無人機)、その他の軍用品を購入するための資金集めを行っている。そしてウクライナ軍は、ドローンを誘導し攻撃目標に爆弾を投下するためにスマホを使う。自宅に電話をかけるためにも使われる。
ウクライナ戦争、スマホが変える
戦争を記録し、攻撃目標の情報を提供
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