今年に入り、米株市場ではグロース株が相場の上げを主導している。だが、投資家の中には上値余地は限られていると見る向きもある。ラッセル3000グロース株指数は年初から9.8%上昇しており、上昇幅はラッセル3000バリュー株指数の4.4%を上回っている。グロース株の大幅上昇は、昨年の基調が急激に反転したことを示している。昨年の下げ相場では、バリュー株――簿価あるいは純資産に対して低水準のマルチプル(投資尺度)で取引されている銘柄――が大幅上昇を遂げていた。だが、インフレは鈍化し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースにブレーキがかるとの投資家の観測が、グロース株を押し上げている。自動車ローンや学資ローン、住宅ローンなどあらゆる融資に影響を及ぼす米国債10年物の利回りは年初に低下した。しかし、最近では金利が再び上昇している。長期金利の低下局面では、過去10年の大半で市場をアウトパフォームしたグロース株やハイテク株に多くの投資家が戻ってきた。