欧州は、米国で昨年成立した気候・税・医療関連法に盛り込まれたクリーンエネルギー補助金について数カ月にわたり批判してきたが、ここにきてそのトーンを弱めている。ジョー・バイデン米大統領が署名したインフレ抑制法には、クリーンエネルギーを対象とする3690億ドル(約50兆円)の基金が盛り込まれた。欧州連合(EU)執行機関である欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は、これまでこの法律を巡る欧州の立場を代弁してきた。ベステアー氏はインタビューで、補助金について詳しく検証した結果、欧州における競争にとって主要な脅威となるのは一部の分野に限られることが示されたと語った。例えば、再生可能水素がインフレ抑制法に基づく補助金の対象となるには米国産であることが条件だが、欧州の産業への影響は大きくないかもしれないという。「米国の補助金はかなり気前が良いが、水素を輸送するのは容易ではない」とした上で、「市場に参入するなら欧州の投資も必要だ、ということになる」と述べた。