米鶏卵大手バーソバ・マネジメントは2015年に流行した鳥インフルエンザで採卵用の鶏800万羽を失った。その後数千万ドルを投じて明るい照明の当たるレーザーシステムや、サウンドキャノンと呼ばれる動きを感知する大音量の警報、作業員用のシャワー設備などを導入し、野生の鳥が持つウイルスが鶏の群れに感染するのを防ごうとしてきた。だが直近の流行でバーソバはさらに200万羽前後を失った。高い費用をかけた鶏卵業界の鳥インフル対策に限界があることを浮き彫りにした。「われわれは凄絶(せいぜつ)な闘いに直面している」。米業界大手5社の一角を占める同社のJ・T・ディーン社長はこう話す。「完璧を期さなければならない」米疾病対策センター(CDC)によると、鳥インフル感染による死亡率は鶏の場合ほぼ100%だ。感染力は非常に強く、偶然風が吹いて野鳥の排せつ物が鶏舎の通気口に運ばれるだけで、内部にウイルスが拡散しかねない、とディーン氏は言う。養鶏場では通常、1羽の感染が分かれば、拡散を防ぐために全部の鶏を殺処分することになっている。