インフレと金利のダブルショックによって資産価格が急落した後の市場が発するメッセージは明白だ。それ以外の事はさほど重要ではない、というものである。同様に、歴史との類似性もはっきりしている。1973年にアラブ諸国が石油禁輸措置を導入すると、米経済は大きな打撃を受け、金利が急上昇した。1980年に再び石油ショックに見舞われ、猛烈なインフレが悪化した際には、米連邦準備制度理事会(FRB)のポール・ボルカー議長(当時)が大幅利上げを敢行した。ロシアがウクライナに侵攻すると、FRBはボルカー時代以来の急激な利上げに踏み切った。もっとも、歴史との相違点が、その類似点と同じくらい重要な意味を持つことも時折ある。経済的な比較は当然重要だが、評価の起点をどこに置くかは、それ以上に重要であることが多い。