「話す力もビジネススキルだ」。こう話すのは書籍『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』の著者である緒方憲太郎さん。日本最大級の音声プラットフォーム「Voicy」の代表として、多くの「話す」に触れる緒方さんが、ビジネスパーソンに求められる「話す力」について語ります。なぜ、今の時代のビジネスパーソンに「話す力」が必要なのか。求められる人になるための「話す力」の正体とは何か。(本記事は、Voicy上で公開された「Voicy ITビジネスニュース」のインタビュー内容を記事化しました。構成/谷本明夢)
聞き手の実力次第で
会話の内容は変わってくる
――「話す力」は、会社のどのような場面で生かすことができるのでしょうか。
緒方憲太郎(以下、緒方) リモートワークが主流になり、Slackなどテキストコミュニケーションが増えたことで、コミュニケーションにおける「反応」が楽になりました。LINEもそうですが、スタンプだけで送ればいいとか。そんな中で、人の話を聞いたときに「あなたの話がしっかり伝わってるよ」「僕には君の考えが染み込んだよ」と伝える手段を一つも持ってない人が、本当にたくさんいます。
そういった反応がないと、話している方も「この人と話してても、楽しくないな」「僕の話を分かっているのかな」と不安になりますよね。
そういうときに、ちょっとした相手の心をつかむリアクションができれば、話しても「そうなんですよ、でね……」と、もっと話をしてくれるようになります。「この人には僕の考えが伝わっているな」と思ってもらえるだけで、話し手はもっと話しやすくなる。
実は、そういう「伝わってるよ」感を聞き手が話し手に伝えられるかどうかが、コミュニケーションにおいてすごく重要なんです。コミュニケーションの主導権は聞き手が握っていると言っても過言ではないでしょう。
――緒方さんの著書『新時代の話す力』では、「話す力」と別に「聞く力」も重要だと書いていますね。「うなずいて笑顔でいればいい」などは、話があまりうまくない人でも実践できそうです。
緒方 できますね。「口角を上げる」などは、実は誰でもできることなんです。それなのに、意外とみなさんやりません。そういう、ちょっとしたことからでも、印象は変わります。
ミーティングでも、話をしているときに、なぜか「話し手が100、聞き手が0」でコミュニケーションが成り立っていることが結構あります。でも実際には、実際は、「話し手が40、聞き手が60」くらいの比率なんじゃないかと、僕は思っています。
聞き手がその場の雰囲気を作って、もっと話し手の伝えたいメッセージを引き出してあげる。聞き手の配慮によって、話し手の気が楽になって、めちゃくちゃいい話ができるようになる。
聞き手本人が、自分が会話の主役だと思えているかどうかが、「話す」というコミュニケーションの場では、めちゃくちゃ大事なんです。
話し方と聞き方を極めるだけで、仕事のパフォーマンスが上がり、「あなたと仕事がしたい」と思ってもらえるようにもなれます。社会全体のコミュニケーション能力が下がっている時代だからこそ、流れに逆らって「話す力」を身につければ、間違いなくライバルに勝つことができます。ぜひ、「話す力」を養って、豊かな人生を送ってもらいたいですね。