ケビン・マッカーシー米下院議長は台湾訪問を検討している。だが同氏は訪台するのではなく、台湾の蔡英文総統を来年初めの任期末に米国に招き、上下両院合同会議で演説してもらうべきだ。マッカーシー氏の前任者であるナンシー・ペロシ氏は昨年夏に台湾を訪問した。善意に基づく訪問だったが、遺憾な結果を招いた。中国政府はペロシ氏の訪台に乗じて台湾海峡の「新常態」を確立し、同国軍は現在、以前よりはるかに台湾に近い場所で定期的に演習を行っている。中国の戦闘機による台湾の防空識別圏への進入は、2021年の538回から2022年には1241回へと2倍以上に増加した。一方で、台湾は無防備な標的のままだ。台湾の状況は、米国が売却を約束している190億ドル(約2兆5800億円)相当の兵器がいまだに届いていないことにより、一層悪化している。米議員らの切迫感のなさは、台湾当局者との接触が限られていることが一因であるように思える。昨年、米議員団が台湾を訪問したのはわずか4回で、参加したのは二十数人だった。