あなたの個性が、世界を変えていく
私は「株式会社じげん」という会社を経営しています。
「生活機会の最大化」を目指し、情報の非対称性を解消するため、テクノロジーの力でより多くの人へ情報を集約してお届けするライフサービスプラットフォーム事業を行う企業です。
新卒でリクルートに入社し、23歳のときに「じげん」の前身となる企業を設立しました。その後、25歳で社長となり、30歳で東証マザーズ、35歳で東証一部への上場を実現。
創業から12期連続で増収増益も成し遂げることができました。2021年3月期時点で連結売上高は125億円、グループ社員は700名を超えています。
私がこのような成果を出せたのも、早いうちに起業家の思考法を身につけたおかげです。
高校生のときに起業を志してからずっと、あらゆる起業家を見続けてきました。
学生時代にはたくさんの社会人の方にお会いし、サイバーエージェントの藤田晋社長など、超一流の起業家から直接お話を聞いています。
その後、学生として2社を起業。数え切れないほどの失敗や挫折、悔しい経験もしましたが、それでも起業家であることをやめませんでした。
「すごい起業家」に共通する点は何か。どうすれば圧倒的成果を生み出せるのか。
いままで出会ってきた起業家と私自身の経験をふまえ、考え続けてきました。
20年以上にわたって蓄積してきた思考を整理し、はじめて明らかにしたのが、「起業家の思考法」です。
起業家の思考法は次の「五つの力」で成り立っています。
①発見力……目標を達成するために、解くべき問題を「発見」する力
②別解力……「自分らしく」「優れた」「別の」やり方を組み合わせ、他の誰も思いつかない「別解」を生む力
③実現力……別解を絵に描いた餅に終わらせず、「実現」する力
④失敗力……「失敗」を最小限に抑え、糧にする力
⑤成長力……ビジネスパーソンとして自らを鍛え「成長」し続ける力
このなかでもっとも重要なのは、②の別解力です。
課題に対し、「他の人が思いつく方法(=正解)」を仮定したうえで、それを上回る「自分だけの打ち手(=別解)」を考える力。
まさに、現代のビジネスパーソンに求められる能力です。
起業家の世界では、誰でも思いつくこと、当たり前のことを語ると退屈されてしまいます。
求められるのは、より魅力的な解決策、さらに面白い打ち手、もっとも新奇性が高いアイデアです。それを語れる起業家ほど興味を持たれ、支持されています。
別解を通じて刺激を与え合いながら、さらなる別解を生み出す作業が習慣になっているのです。そして、実績のある多くの起業家が、自らのビジネスで別解を使い、成果を上げています。
別解力を核とした起業家の思考法は、過去の効率や生産性重視のフレームワークによって生み出される無味乾燥な問題解決の方法ではありません。
楽しみながら自分の頭で思考し、行動し、習慣化することで成果が上がる思考法です。
もちろん、起業家の思考法は起業しないと身につかないものではありません。
ビジネスパーソンや学生でも、誰でもすぐに実践できるものです。
特殊な才能やセンスは必要ありません。
あなたらしい個性が発揮でき、組織や社会にイノベーションをもたらすものでもあります。
(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)