任天堂Photo:SOPA Images/gettyimages

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は任天堂、ネクソンなどの「ゲーム」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

「ポケモンSV」爆発的ヒットも
任天堂は減収減益

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゲーム業界5社。対象期間は2022年8~12月の四半期(5社いずれも22年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・任天堂
 増収率:マイナス8.3%(四半期の売上高6382億円)
・ネクソン
 増収率:49.5%(四半期の売上収益811億円)
・バンダイナムコホールディングス
 増収率:13.2%(四半期の売上高2656億円)
・カプコン
 増収率:68.5%(四半期の売上高306億円)
・スクウェア・エニックス・ホールディングス
 増収率:マイナス11.9%(四半期の売上高922億円)

 ゲーム業界5社では、ネクソン、バンダイナムコホールディングス、カプコンが増収。任天堂とスクウェア・エニックス・ホールディングスが減収となった。

 このうち任天堂は、22年11月に「Nintendo Switch」向けゲームソフト「ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(SV)」を発売し、話題を呼んだ。

 同タイトルは驚異的なペースで販売本数を伸ばし、発売から3日間で1000万本を突破したほか、12月末までに2061万本を売り上げた。

 この他にも、任天堂では22年4月に発売した「Nintendo Switch Sports」(第3四半期累計で861万本)、9月に発売した「スプラトゥーン3」(同1013万本)などのタイトルがヒット作となった。

 同社は、ソフトメーカーのタイトルも含め、22年4~12月期に27タイトルがミリオンセラーになったと説明している。

 だが前述の通り、任天堂の四半期増収率は前年同期比でマイナスに沈んだ。第3四半期累計の業績も、売上高が前年同期比1.9%減の1兆2952億円、営業利益が同13.1%減の4105億円、最終利益が同5.8%減の3462億円と減収減益に陥っている。

 さらに、23年3月期の通期業績予想を売上高・利益ともに下方修正するなど「踏んだり蹴ったり」といえる状況だ。

「ポケモンSV」の爆発的なヒットがありながら、なぜ任天堂の業績は悪化しているのか。次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介と併せて、任天堂の不調要因について詳しく解説する。