今、人気の「自力整体」人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッドだ。痛みや不調を解決するワークを紹介した『すごい自力整体』は、大きな反響を呼んでいる。今回、出版を記念して著者の矢上真理恵さんと対談してくださったのは、「自力整体」の生みの親・矢上裕さん。矢上真理恵さんのお父様でもある矢上裕さんは35年前、鍼灸師・整体治療家として治療しながら、効果の高い施術を自分におこなえるように改良し「自力整体」を完成。著書は25冊を超える。今回『すごい自力整体』の監修者として参加。対談の第7話は、「冷たくて、硬い体」をいっきに温める! 整体プロが教える冷えとむくみを解消する方法、です(構成/依田則子、写真/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家

「冷たくて、硬い体」をいっきに温める! 整体プロが教える冷えとむくみを解消する方法

今すぐ冷えとむくみを解消! 超シンプル血流改善法

――矢上さんの著書『すごい自力整体』では、「冷たくて、硬い体」は不調や病のはじまりと書かれていましたが、今すぐ冷えを解消する「自力整体」を教えていただけますか?

矢上真理恵(以下「真理恵」):そうですね。今すぐできる方法としては『すごい自力整体』で紹介している「かかとの上げ下げ」がおすすめです。これは骨盤まわりの筋肉を鍛える方法として紹介しましたが、冷え解消にもおすすめです。立ってかかとを5センチほど上げ下げするだけのシンプルな動きです(30回くらいが目安)。

 ふくらはぎの筋肉を動かして血流を促すので、足はもちろん、体全体が温まりますよ。

 大殿筋(お尻まわりの中で最も大きい筋肉)の強化につながるので、骨盤のゆがみ防止やヒップアップにもおすすめです。

――裕先生はいかがでしょうか?

矢上裕(以下「裕」):とくに下半身が冷えやすいという方は、長時間座りっぱなしでお尻の奥にある坐骨神経が圧迫されているからなんですね。

 坐骨神経は「梨状筋」(りじょうきん)という筋肉の真下を通っています。この筋肉はお尻側にあります。長時間座って作業をしているとこの梨状筋が硬くなり、下半身の血流が悪くなって足が冷えるというわけです。ですから、座りっぱなしの人は梨状筋をほぐして坐骨神経を解放していくといいですね。

――「梨状筋ほぐし」のワークは『すごい自力整体』でも紹介していますね。

裕:そうですね。要するに梨状筋や坐骨神経の圧迫を緩めてやればOKです。すぐ下半身がポカポカしてきます。

 たとえば他にも、仰向けになってお尻を持ち上げて梨状筋を硬く緊張させた後、フーッと力を抜くとか。こんな動作をするだけでもフワッと温まってきますよ。

 デスクワークをされている方は、時々立ち上がって座る時間を短くするといいですね。そして立ち上がったら、先ほどの「かかとの上げ下げ」をしてください。

「冷たくて、硬い体」をいっきに温める! 整体プロが教える冷えとむくみを解消する方法矢上真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗