「管理職として失格な人」に共通する残念な考え方とは?
そう語るのは、これまで4000社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)

「管理職として失格な人」に共通する残念な考え方・ワースト1Photo: Adobe Stock

リーダーが考えるべきことは?

 リーダーは組織の中で日々、どんなことを考えるべきでしょうか。

 たとえば、昭和の時代や高度経済成長の頃は、日本の成長が信じられました。
 つまり、疑問を持たずに仕事と対峙できた

 いまは、将来の不確定要素があまりにも多すぎて、組織での成長を信じられなくなっています
 日本中、全員が迷いながら仕事をしています。

 私たちの元には、「組織の利益より社員のモチベーションを上げることも優先すべきだ」などの考えを教えられてきて、迷子になっている経営者がたくさんやってきます。
 そうやってモチベーションマネジメントを推奨しているコンサルティング会社が多いのです。
 しかし、それによって立ち行かなくなっています

 私たちは、全員を「組織の利益」に向かせるための仕組みを教えています。
 利益を最大化させ、全員の取り分を増やします。
 そして、現場レベルでメンバーを成長や利益に向かわせるのが、リーダーの役割なのです

利益相反を起こさない「軸」

 リーダーは、「葛藤」を抱えることがあると思います。
 現場の部下のことを考える一方、上から数字の目標を言い渡される中間管理職だからです。
 そこで板挟みになってしまい、消耗していくリーダーが後を絶ちません
 そんなときに考えてもらいたいのが、次の自問自答です。

「これって、利益相反を起こしていないか?」

 つまり、個人と会社が「利益相反」を起こしていないかどうかだけを見るのです。
 個人が追求することで会社が利益を得るもの。それは、「成長」しかありません。

 個人が成長という「利益」を得ることができるのは、会社の成長に貢献できているからです。
「成長」という利益を追い求める限り、会社と利益相反を起こさず、永遠に利益を得続けることが可能です

 一方、「仲間と楽しく働きたい」「充実した福利厚生がほしい」などの部下が求める利益は、ときに、会社と利益相反を起こします。
 会社と利益相反を起こす利益を与え続けることは不可能です。

 そんなときこそ、「利益相反を起こしていないか?」を自らに問うてみるのです。
 仮面の内側で自分に聞いてみる。すると、いま、やるべきことがブレないはずです。

「アップデート」しよう

 この話は、ヘタをすると大きな誤解を生みます。

「個人を蔑ろにしている!」
「そうやって組織が個人を潰していくんだ!」

 などと拒否反応を示されるおそれがあります。
 だからこそ、個人と組織の関係について丁寧に説明しました。

「組織のために個人をなくせ」とは言っていません。
「組織のために働いたことが、個人の利益につながっていく」だけです

 その「切っても切れない関係性」について解説したつもりです。 
 初めてリーダーになるあなたが仮面をかぶり、考え方をアップデートすることを期待しています。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。