「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。

「余裕がない」と吐露する人が読むべき「人生観が変わる1冊」Photo: Adobe Stock

最初の4か月間で多くのビジネスパーソンが感じたこと

 2024年のGWは、普段より比較的まとまった時間を確保しやすい人も多いのではないかと思います。今年もあっという間に3分の1が終わってしまいましたが、最初の4か月間はいかがだったでしょうか。

 私は普段、社会人教育の世界で企業の講演に登壇、自社で社会人向けのスクールやコミュニティを主宰しています。さまざまな業界のビジネスパーソンと日々交流するなかで、今年になって顕著に見聞きするようになった「あるセリフ」があります。

「余裕がないです……」

 時間的に余裕がないのか。それとも経済的に、あるいは精神的に余裕がないのか。この機会に自身のブレンド具合もぜひ考えてみてほしいのですが、ともかく「確かに自分も余裕がなかったな」と感じている人ほど、GW後にまた余裕がなくなってしまう前に、今のうちに手に取って読んでおいてほしい本があります。

GW期間中に絶対に読んでほしい1冊

『イノベーション・オブ・ライフ』(クレイトン・M・クリステンセン、ジェームズ・アルワース、カレン・ディロン著、櫻井祐子訳、翔泳社)という本です。「GW期間中も余裕はないです」という人は、拙著『見るだけ読書』で紹介していますので、そちらを読んでもらう形でも構いません。参考までに、書籍に掲載したこの本の「1枚」まとめを引用しておきます。

「余裕がない」と吐露する人が読むべき「人生観が変わる1冊」

『イノベーション・オブ・ライフ』は、ハーバード・ビジネススクールの教授だったクリステンセンが、学生たちに向けて行った最後の講義をベースにしています。

 卒業後、ビジネス・仕事一辺倒で「余裕」なく働き続けた結果、ライフの方では大きな転倒・躓きをしてしまう。

 そんな卒業生が多数現れてしまったことに心を痛めていたクリステンセンが、「あとで後悔しないために、自分なりの人生の基準を持とう」という切実な願いをこめて書いた名著です。実際、原書の書名は『How Will You Measure Your Life?』となっていて、タイトル通り「人生のメジャー=ものさし=基準」がテーマであることがわかると思います。

仕事一辺倒で本当にいいのか?

 実際に本を読んでもらうと、さまざまな「基準=ものさし」について学ぶことができます。本稿では1つだけ、第7講の「子どもたちをテセウスの船に乗せる」について紹介します。

 この章は「仕事と子育ての両立」がテーマなのですが、「忙しい、余裕がないから」といって何でもかんでも子育てをアウトソーシングしていたら、最終的にはどうなってしまうのか。

 それはまるで、改修を重ね過ぎて、テセウスがいた頃の素材が1つもなくなってしまった船と同じなのではないか。アウトソースし過ぎて、もはや「自分が育てた」とは言えないような子ども・子育てになってしまっていないかといったことが書かれています。

 仕事一辺倒のキャリアの結果、晩年になってこのような後悔をしているビジネスパーソンが数多くいる。だからこそ、『イノベーション・オブ・ライフ』という本が生まれ、名著として多くの人に読み継がれています。

 今まさに余裕がない状況なのであれば、なおさら何とか時間をつくって、今こそこの本を読んでみてください。そして、「本当にこのままで良いのか?何か根本的に違うことをやるべきではないのか?」と自問してみる、そんなGWにしていってください。

(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』著者の書き下ろしです)