預金者はスマートフォンのアプリを通じて米シリコンバレー銀行(SVB)の口座から預金を引き出し、スタートアップ企業のネットワークにも同様の行動を呼びかけていた。一方、SVB行内では、幹部らが緊急融資を確保しようと米銀行システムの時代遅れの制度に取り組み、証券保管銀行に対し、巨額資金の移動を処理するために遅くまで営業するよう説得に当たっていた。この競争に勝利したのは預金者だった。数十億ドルの資金が到着するころに、当局はSVBを閉鎖した。米銀の経営破綻では史上2番目の規模となった。SVBの支援に取り組んでいた関係者の中には、閉鎖を当局のプレスリリースで知った人もいた。ただSVBのバランスシートの弱さや気まぐれな預金者のせいで、救済がほぼ不可能なことは次第に明確になっていた。