東芝の長年の迷走にようやく終止符が打たれようとしている。いや、果たしてそうだろうか。日本の産業界を象徴する同社に対する割安な株式公開買い付け(TOB)価格に、不満を隠さない株主もいるだろう。東芝は相次ぐ不祥事に見舞われ、業績低迷に苦戦を強いられている。東芝は23日、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)率いる企業連合に約2兆円で非公開化されることで合意したと発表した。買い手が提示したTOB価格は東芝の同日終値に10%の割増金を乗せた水準だが、同社の売却を要求してきたアクティビスト(物言う株主)の多くが期待していた価格より低いとみられる。例えば、このTOB価格は2年前に英CVCキャピタル・パートナーズに提示され、東芝が退けた価格を7%下回る水準だ。東芝でさえも価格が不十分だとして、株主に提案の受け入れをすぐに勧告しなかった。東芝は株主への提案を検討する特別委員会を設置する。