米銀行セクターの混乱は、米国だけの問題ではない。世界的なリセッション(景気後退)のリスクを高めるものでもある。米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻以前から、多くのエコノミストは今年の世界経済の成長率が大幅に低下すると予想していた。米国と欧州で、金利上昇を受けて支出と投資が減少するとみられていたからだ。こうした懸念は、欧米経済の予想外の好調さを示すデータと、昨年12月にゼロコロナ政策を放棄した後の中国で景気が回復し始めたことを受けて、今年初めには幾分緩和されていた。しかし、一部では悲観論が徐々に復活しつつある。大半のエコノミストは全面的な金融危機が発生する可能性は低いと考えているが、その一方で銀行セクターの混乱と金融引き締めの悪影響から、世界の経済成長へのリスクが高まると予想している。