動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡る米政府の懸念を受け、中国のアプリがいかにして米国の若者の生活に入りこんでいるかや、なぜそれほど人気なのかに改めて関心が集まっている。3月に米国で最も注目を集めた五つのアプリのうち四つが中国発のアプリだった。その人気の秘密はアルゴリズムにあるとよく言われている。しかし見過ごされがちなのが、国内でのし烈なユーザー獲得競争が、中国企業に欧米のライバル企業をしのぐ競争力をもたらしている点だ。数十年前に中国が製造大国として台頭してきたときのように、中国のIT(情報技術)企業は、手頃なコストの人材プールを活用し、製品機能を絶えず改良している。調査会社センサータワーによると、7カ月前に提供が開始された中国発の電子商取引(EC)アプリ「Temu(ティームー)」は3月の最初の3週間に米国のアプリストアで最もダウンロードされたアプリとなった。2位はティックトックと同じ傘下にある動画編集アプリ「CapCut(キャップカット)」で、3位はティックトックだった。4位も中国発のファストファッションECアプリ「Shein(シーイン)」だった。5位は「フェイスブック」とトップ5で唯一の非中国系アプリとなった。