米セールスフォースは戦争をする必要はないかもしれないが、まだ多くの戦闘が待ち受けている。クラウドソフトウエアの先駆的企業であるセールスフォースは27日、一時低迷していた同社株を大量取得した一握りのアクティビスト(物言う株主)の1社、米エリオット・マネジメントと共同で声明を発表した。それによると、エリオットは次の年次株主総会でセールスフォースの取締役指名を巡る委任状争奪戦を仕掛けることはない。その見返りに、「セールスフォースとエリオットは、これまで培ってきた生産的な協力関係を継続することを約束した」という。これは、エリオット側の屈服のように読めるかもしれない。しかし実際は、今月初めに発表されたセールスフォースの2022年11月-23年1月期(第4四半期)決算が驚くほど好調だったため、時に好戦的なエリオットがこのような戦いを挑むための根拠がほとんど残っていなかった。決算報告には、自社株買いの倍増と、将来の大型買収を事実上断念するとの内容が含まれており、どちらもエリオットの主要な要望事項だった。セールスフォースの株価は、決算発表以来14%上昇、エリオットによる株式取得が最初に報じられた1月中旬以来では26%上昇と急騰している。BVPナスダック・エマージング・クラウド指数の上げ幅は1月中旬以来5%だ。
セールスフォースCEO 一息ついたが前途多難
「物言う株主」エリオットとの対決は避けられたが、利益改善への圧力は収まらない
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