米ハイテク業界で相次ぐ人員削減は、雇用市場にほとんど打撃を与えていないようだ。足元の銀行不安の影響も軽微に終わるかもしれない。米連邦準備制度理事会(FRB)による過去1年の急ピッチの利上げや住宅市場の低迷に加え、グーグルを傘下に抱えるアルファベット、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムといった有力企業による複数回にわたる人員削減が大きく報じられているが、米雇用の伸びは依然として驚くほど力強い。病院からホテルまで多くの業界が今も人手不足に悩まされる中、職を得ている人に比べると、失業者の数はかすんで見える。これまで経済全体で削減された人の数が多いというわけでもない。米労働省が30日発表した25日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は19万8000件と、前週の19万1000件からやや増えたものの、極めて低い水準を維持している。雇用市場が強いとされた2019年でも、申請件数は平均で22万件程度だった。失業してから実際に手当てを申請するまでには時間がかかる可能性があるが、シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻で株式市場に最初に衝撃が走った3月9日以降、失業者の目立った増加は見受けられない。
米雇用なお衰え知らず、人員削減どこ吹く風
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