米金融機関にとって最近の銀行業界の混乱は、数百億ドル規模に及ぶ高リスク債権を売却するという、ただでさえ困難な仕事をさらに難しくしている。レバレッジド・ファイナンス分析会社9フィンによると、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、バークレイズ、モルガン・スタンレーなどは現在、総額で250億~300億ドル(約3兆3000億~4兆円)の「ハングデット」をバランスシート上に抱えている。この売れ残り債権はレバレッジド・バイアウト(LBO、買収先企業の資産などを担保とした資金調達による買収)に関連したものだ。昨年に信用状況が悪化した結果、銀行が合意していたLBO向け融資(債権)に対する投資家の需要が鈍った。銀行関係者によると、銀行は最近、こうした債権を徐々に減らし始めていたが、シリコンバレー銀行(SVB)やレバレッジド・ファイナンス大手のクレディ・スイス・グループを巻き込んだ今回の危機によって、このプロセスは行き詰まった。さらに悪いことに、ハングデットの中で個別では最大のもの(米実業家イーロン・マスク氏によるツイッター買収を支える130億ドル超の融資債権)の魅力が一段と低下している。ツイッターの売上高と利益が急落したことを受けて、マスク氏が同社の評価額を買収価格の半分未満に設定したためだ。
米銀のジャンク債売却、SVB破綻で難儀に
計3兆円規模の高リスク債権を抱える銀行
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