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インキュベーションの虚と実

ピボットは罪か必然か
カン違いせず、大胆にやる事業転換

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第21回】 2013年2月18日
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第5回で紹介したように、米国でトップクラスのベンチャー・キャピタルであるKPCBが投資したスタートアップの3分の2が、投資時のビジネスプランAとは異なるプランBに(あるいは更に)転換している(参考書籍「プランB」)。KPCBほどの目利きのメガネにかなった企業ですら、これだけピボットしているのだ。

 ミクシィもDeNAも当初の事業のままなら急成長はなかった。ツイッターもYouTubeもそうだ。

 スティーブ・ブランク氏が音頭をとる研究プロジェクト「Startup Genome Compass」がネット系スタートアップを調査した結果によると、1~2回ピボット(製品や市場を転換)した企業は、ピボットしなかった企業や3回以上ピボットした企業と比べて、2.5倍のお金を集め、3.6倍ユーザー数を伸ばし、時期尚早な拡大をすることが52%少ない、という。

 つまり、適切なピボットはスタートアップを助ける。ピボットは、多くの場合、必然と言っても過言ではない。市場のフィードバックが乏しいのに、市場に受け入れられる製品やサービスをつくり、提供するのは、至難の業だ。もちろんピボットにも上手下手がある。やたらとピボットを繰り返していては、振り出しに戻ってばかりで前に進めない。仮説を練り込まずに、下手な鉄砲を撃っているだけでは、的に命中はしない。

あっと驚く大転換
ピボットがつくる成功

 ピボットは様々な形でとらえられる。米カリフォルニア州パロアルトのPARC(Xeroxから分社した著名研究所)で昨年12月4日に開かれた「Xconomy Forum:The Power of the Pivot」での、ブルペン・キャピタルのマネージング・ディレクターDuncan Davidson(ダンカン・デイビッドソン)氏のプレゼンテーションの一部を紹介したい(ちなみに本連載第19回では同フォーラムでのスティーブ・ブランク氏の話を取り上げている)。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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