株式を保有する対価と債券を保有する対価の差が、2008年の金融危機前から見て最も縮小している。S&P500種指数構成銘柄の株式益利回りと米10年物国債利回りの差を示す株式リスクプレミアムは現在1.59ポイント前後と、2007年10月以来の低水準となっている。08年以降の平均は約3.5ポイントだ。足元でこれほど低下しているのは、株式にとって逆風となる。株式は長期的に債券よりも高い対価を約束する必要がある。そうでなければ、国債の安全性が、投資した資金を全てとはいわないまでも失いかねない株式のリスクに勝ることになる。株式の妙味が薄れているのは、債券利回りが上昇する一方で、企業の業績見通しにまだ明るさが見えないためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は目下、インフレ抑制に向けた利上げと、銀行危機の本格化を阻止するという二つの課題を抱えている。いずれも株式の先行き不透明感につながる。
妙味薄れる米国株、2007年以降で最低
債券利回りが上昇する一方で、企業の業績見通しにまだ明るさが見えない
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