バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)は、人々が家に居ながらにしてお気に入りのバンドの演奏を見たり、友人と出掛けたり、ビーチでくつろいだりするのを支援する。一方で、これを健康に役立てる人々もいる。大勢の前で話したり、戦地を再び訪ねたりすることで、恐怖心やトラウマ(心的外傷)となった記憶を処理しているのだ。病院や大学のクリニックでは何年も前から、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や恐怖症などに苦しむ患者をVRによるシミュレーションに没入させ、問題と向き合うのを支援してきた。これは以前からある暴露療法(疑似体験療法)のバーチャル版と言える。患者はセラピストと一緒に、過去の記憶をたどり、恐怖を疑似体験することで、脅威にさらされている感覚を克服する。